抗ARS抗体陽性間質性肺疾患に合併した肺腺癌の1例
伊藤 徳明a,b 尾下 豪人a 妹尾 美里a 船石 邦彦a 三玉 康幸a 奥崎 健a
a三原市医師会病院内科
b広島大学病院呼吸器内科
症例は67歳の男性.3年前から両肺下葉のすりガラス影を経過観察されていた.右肺下葉に浸潤影が出現し,気管支鏡検査によって肺腺癌と診断された.間質性肺炎の原因を精査したところ,抗ARS抗体,リウマチ因子が陽性であり,自己免疫疾患との関連が示唆された.間質性肺疾患は肺癌を高頻度に合併するが,抗ARS抗体陽性の間質性肺疾患に肺癌を合併した報告は稀である.自己免疫疾患の要素を有する間質性肺炎における肺癌の合併リスクや癌薬物療法については不明な点が多く,今後の検討課題である.
Received 8 May 2020 / Accepted 30 Jul 2020
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 9(6): 449-453, 2020