FOLFOX療法によるアレルギー症状後に発症した薬剤性好酸球性肺炎の1例
伊藤 洋行a 奥本 穣b 坂本信二郎b 益田 武b 岩本 博志b 服部 登b
aJR広島病院呼吸器内科
b広島大学病院呼吸器内科
症例は69歳男性.S状結腸癌術後再発に対しFOLFOX療法が開始された.7コース目以降は化学療法後に軽度の全身掻痒感を呈し,10コース施行後4日目に発熱,呼吸困難が出現した.CTで両肺斑状すりガラス陰影,気管支肺胞洗浄液で好酸球分画上昇を認め,FOLFOX療法による薬剤性好酸球性肺炎と診断され,ステロイド治療で改善した.同療法による薬剤性肺障害は治療中断やステロイド治療で改善を認めない症例も少なくないが,アレルギー症状後に発症した肺障害はステロイド反応性の好酸球性肺炎の可能性も考慮する必要がある.
Received 2 Mar 2020 / Accepted 2 Jul 2020
坂本 信二郎
〒734–8551 広島県広島市南区霞1–2–3
広島大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(5): 370-373, 2020