悪性胸膜中皮腫との鑑別を要したIgG4関連胸膜炎の1例
尾下 豪人a 高橋 達紀a 妹尾 美里a 船石 邦彦a 藤原 誠b 奥崎 健a
a三原市医師会病院内科
b同 外科
症例は79歳の男性.IgG4関連自己免疫性膵炎に対するステロイドの維持投与中に労作時呼吸困難を訴えた.血清IgG4上昇とともにFDG-PETで集積亢進を伴う右胸膜肥厚が出現した.アスベスト曝露歴と胸膜プラークから悪性胸膜中皮腫も疑われたが,胸膜生検によってIgG4関連胸膜炎と診断した.アスベスト曝露とIgG4関連疾患の関連が示唆される症例であった.また,IgG4関連胸膜炎はFDG集積亢進を伴う胸膜肥厚を呈することがあり,悪性胸膜中皮腫との鑑別に注意を要する.
IgG4関連呼吸器疾患 悪性胸膜中皮腫 アスベスト曝露 胸膜生検
Received 26 Apr 2020 / Accepted 15 Jun 2020
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
a三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 9(5): 360-364, 2020