Cryptococcus gattiiによる肺クリプトコッカス症の1例
河手-堀内絵理子a 石黒 卓a 大楠美佐子b 亀井 克彦b 清水 禎彦c 高柳 昇a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野
c埼玉県立循環器・呼吸器病センター病理診断科
症例は22歳男性.20XX-3年から10ヶ月間米国オレゴン州に留学していた.胸部CTで左肺上葉に空洞を伴う結節影を指摘され,20XX年6月に埼玉県立循環器・呼吸器病センターを受診した.自覚症状はなく血清クリプトコッカス抗原は陰性だった.診断目的で同年8月に胸腔鏡下肺生検で採取した肺組織からCryptococcus sp.が培養され,遺伝子解析にてCryptococcus gattii(分子型VG Ⅱc)と判明した.抗真菌薬に対する最小発育阻止濃度の結果を確認した後にイトラコナゾール(itraconazole:ITCZ)を6ヶ月間投与し,以後4年間再発していない.
クリプトコッカス・ガッティイ 肺クリプトコッカス症 クリプトコッカス抗原 輸入真菌症
Received 2 Mar 2020 / Accepted 5 Jun 2020
石黒 卓
〒360–0197 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 9(5): 355-359, 2020