胸腔鏡下肺切除術で診断された印環細胞癌様の形態を呈した肺腺癌の1例
成田 大輔a 宮内 栄作a 齊藤 涼子b 江場 俊介c 岡田 克典c 一ノ瀬正和a
a東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
b同 大学院医学系研究科病理病態学講座病理診断学分野
c同 加齢医学研究所呼吸器外科学分野
症例は70歳,女性.左中肺野の陰影の増大を認め,気管支鏡検査で腺癌(cT2bN0M0 Stage ⅡA)と判断された.胸腔鏡下肺切除術にて左下葉に広範な胸膜播種を認め,胸膜播種巣の部分切除のみ施行した.播種巣は組織学的に印環細胞様の形態を呈し,免疫組織学的検討では消化器由来の悪性腫瘍の肺転移の可能性が考えられた.上下部内視鏡検査では消化管腫瘍は認めず,最終的に印環細胞癌様の形態を呈した肺腺癌と診断し,薬物療法を開始した.印環細胞癌様の形態を呈した肺腺癌は,消化管腫瘍の肺転移との鑑別が重要となる.
Received 25 Feb 2020 / Accepted 3 Jul 2020
宮内 栄作
〒980–8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1–1
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 9(5): 345-349, 2020