BRAF遺伝子変異陽性非小細胞肺癌と大腸癌肺転移を合併した重複癌の1例
田中阿利人a 服部 繁明a 杉本 俊介a 関戸 康友b 加志崎史大a
a伊勢原協同病院呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は77歳男性.20XX-3年当院外科で大腸癌術後,20XX-1年のCTで術前から存在した右肺結節が増大し,左鎖骨上窩等に新たなリンパ節腫大を認めた.リンパ節生検を施行し,BRAF陽性肺癌の診断に至り,ダブラフェニブ/トラメチニブ(dabrafenib/trametinib)で治療開始した.開始後も右肺結節は増大が続くために肺生検を施行した.大腸癌検体と同様KRAS遺伝子変異陽性で免疫組織化学染色(immunohistochemistry:IHC)も踏まえ,大腸癌肺転移と原発性肺癌の重複癌と診断した.本症例は遺伝子検査,IHC,抗癌剤の治療効果等から肺癌と大腸癌肺転移を鑑別できた稀な症例である.
非小細胞肺癌 大腸癌転移 BRAF V600E変異 KRAS G13D変異
Received 10 Apr 2020 / Accepted 1 Jul 2020
田中 阿利人
〒259–1187 神奈川県伊勢原市田中345
伊勢原協同病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(5): 340-344, 2020