穿破による胸膜炎を伴った成熟型縦隔奇形腫の1例
今泉 知里a 小髙 倫生a 中野 千裕a 押尾 剛志a 大原関利章b 松瀬 厚人a
a東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は20歳女性.検診で縦隔腫大を指摘され,精査受診前に発熱と右胸痛を認め,近医を受診.胸部単純X線撮影で右胸水貯留を認め,精査目的に当科を受診した.胸部CTでは右胸腔内に前縦隔から発生する腫瘤性病変を認め,液体成分が充満し,内部に脂肪成分を伴う充実部分を認めた.また腫瘤性病変による無気肺と右胸水を認め,縦隔腫瘍の穿破および胸膜炎と診断し,ドレナージおよび抗菌薬投与により炎症の改善後,縦隔腫瘍摘出術を施行した.病理学的に皮膚組織,気管支組織,膵組織を認め,未熟な成分はなく,成熟型奇形腫と診断された.
Received 3 Mar 2020 / Accepted 19 Jun 2020
今泉 知里
〒153–8515 東京都目黒区大橋2–22–36
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(5): 330-334, 2020