わが国の呼吸器臨床病理の現状と問題点―病理医のアンケート結果より―
今泉 和良a,b 山谷 睦雄a,c 須田 隆文a,d 礒部 威a,e 大平 徹郎a,f 長内 忍a,g 川山 智隆a,h 國近 尚美a,i 佐野 博幸a,j 柴田 陽光a,k 新海 正晴a,l 多賀谷悦子a,m 千葉 弘文a,n 松本 久子a,o 金子 猛a,p
a日本呼吸器学会将来計画委員会
b藤田医科大学呼吸器内科学I
c東北大学大学院医学系研究科先進感染症予防学寄附講座
d浜松医科大学内科学第二講座
e島根大学医学部内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学
f国立病院機構西新潟中央病院呼吸器センター内科
g旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野
h久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門
i山口赤十字病院内科
j近畿大学医学部内科学教室呼吸器・アレルギー内科部門
k福島県立医科大学医学部呼吸器内科学講座
l東京品川病院治験開発・研究センター
m東京女子医科大学医学部内科学第一講座
n札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座
o京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学
p横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
呼吸器病理診断の現状と問題点を明らかにする目的で日本呼吸器学会認定施設にアンケートを送付し,呼吸器病理に関心の深い病理医94人(10.5%)から回答を得た.86%が呼吸器病理における人材不足を感じ,71%が呼吸器病理医を目指す若い医師は“増えていないまたは減っている”と回答した.人材が増えない理由として病理医全体数の不足,呼吸器病理の難解さ,指導医不足が挙げられた.65%は他施設の呼吸器病理診断に疑義を感じた経験があった.呼吸器病理診断は憂慮すべき人材不足にあり,日本呼吸器学会は日本病理学会と協力して教育・人材育成にあたる必要がある.
Received 14 Mar 2020 / Accepted 5 Jun 2020
今泉 和良
〒470–1192 愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1–98
日本呼吸器学会将来計画委員会
日呼吸誌, 9(5): 311-318, 2020