HTLV-1関連気管支肺疾患の長期観察例
橋本健太郎a 松本 久子a 黒澤 学b 菱澤 方勝c 高折 晃史c 平井 豊博a
a京都大学医学部附属病院呼吸器内科
b同 病理診断科
c同 血液・腫瘍内科
症例は55歳男性.45歳時に慢性気管支炎を指摘され,下気道感染を反復,難治性びまん性汎細気管支炎(DPB)として紹介受診.気管支鏡検査結果と,抗HTLV-1抗体陽性,末梢血ATL細胞出現から慢性型ATLとDPB型HTLV-1関連気管支肺疾患の合併と診断した.慢性型ATLに予後不良因子なく経過観察していたが,63歳時にATLが急性転化し,敗血症併発により永眠された.9年の経過中,顕著な下気道感染はなかったが気管支拡張と閉塞性換気障害が進行し,亡くなる1年前から非侵襲的人工呼吸器を要した.
Human T-cell lymphotropic virus type-1(HTLV-1)関連気管支肺疾患(HABA) 気管支拡張 閉塞性換気障害
Received 29 Nov 2019 / Accepted 1 Apr 2020
松本 久子
〒606–8397 京都府京都市左京区聖護院川原町54
京都大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(4): 304-308, 2020