傍気管嚢胞を有し,気管支鏡検査後に縦隔気腫をきたした1例
伊藤 徳明a,b 尾下 豪人a 妹尾 美里a 船石 邦彦a 三玉 康幸a 奥崎 健a
a三原市医師会病院内科
b広島大学病院呼吸器内科
症例は83歳の女性.左肺下葉結節影の精査目的で気管支鏡検査を受けた.気管支鏡検査後の夜間に,患者は咳嗽を契機として頸部の腫脹と疼痛を自覚し,胸部画像検査で皮下気腫と縦隔気腫を指摘された.稀ではあるが気管支鏡の合併症として縦隔気腫が起こり得るため,検査後の観察において注意する必要がある.また,本症例では検査前から傍気管嚢胞を認めた.過去に傍気管嚢胞と縦隔気腫の関連性を示す報告がある.本症例では,咳嗽時の気道内圧上昇による傍気管嚢胞の破綻が縦隔気腫を引き起こした可能性がある.
Received 30 Nov 2019 / Accepted 19 Mar 2020
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 9(4): 281-284, 2020