多発肺空洞病変を呈したG-CSF産生腎盂移行上皮癌の1例
髙原 政利a 水城まさみa 菅野 智彦a 前田昭太郎b 菊池 喜博a
a国立病院機構盛岡医療センター呼吸器内科
bLSIメディエンス病理部
78歳男性.2週間前から咳嗽,発熱があり精査のため当院を紹介受診.胸部単純X線検査および胸部CTにて多発空洞性腫瘤陰影を認め,喀痰細胞診で低分化型悪性細胞陽性.PET/CT所見や尿細胞診結果から,左腎盂移行上皮癌原発の転移性肺癌と診断.初診時から著明な白血球増加があり,血清G-CSF活性高値およびPET/CTで骨全体のFDG集積を認めG-CSF産生腫瘍と考えた.肺内腫瘍は急速に増大,呼吸不全が悪化し受診21日後死亡.腎盂癌がG-CSFを産生し多発空洞性肺転移を起こした稀な症例であり報告する.
多発肺空洞陰影 尿路移行上皮癌 G-CSF産生腫瘍 転移性肺腫瘍 腎盂癌
Received 23 Nov 2019 / Accepted 16 Apr 2020
髙原 政利
〒020–0133 岩手県盛岡市青山1–25–1
国立病院機構盛岡医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 9(4): 257-261, 2020