トシリズマブ治療を施行した肺病変を有する多中心性キャッスルマン病3例の検討
田村 志宣a,b 小浴 秀樹b 堀 善和b 森本 将矢b 蒸野 寿紀a,b 園木 孝志a
a和歌山県立医科大学血液内科
b紀南病院血液内科
肺病変を有する多中心性キャッスルマン病に対しトシリズマブ(tocilizumab)を導入した3例を経験した.男性2例,女性1例で,初診時平均年齢は44歳.3例ともリンパ節生検で診断し,胸部CTでは両側肺野に多発間質陰影を認めた.診断後,2例は経過観察,1例はステロイドを開始したが,肺病変と呼吸器症状の増悪のため,全例でトシリズマブが導入された.開始後,症状は速やかに消失したが,間質陰影は一部残存した.肺病変を有する多中心性キャッスルマン病では,トシリズマブの早期導入が望ましいと考える.
Received 20 Nov 2019 / Accepted 8 Jan 2020
田村 志宣
〒641–8509 和歌山県和歌山市紀三井寺811–1
和歌山県立医科大学血液内科
日呼吸誌, 9(3): 211-216, 2020