再投与し得たオラパリブによる薬剤性肺障害の2例
酒井 菜摘a 木村 陽介a 林 正周a 小屋 俊之a 榎本 隆之b 菊地 利明a
a新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科
b同 産科婦人科
オラパリブ(olaparib)は,進行卵巣癌・乳癌に対する新規の分子標的薬(poly ADP-ribose polymerase阻害薬)である.オラパリブによる薬剤性肺障害の発症頻度は低いとされているが,当院ではオラパリブによる薬剤性肺障害と思われる症例を2例経験した.発症時期,症状,経過,検査所見など多くの共通点がみられた一方,画像パターンには一定の傾向はみられなかった.原疾患が悪性腫瘍の場合,再投与の可否が問題となるが,本例では2例とも再燃を認めずに再投与し得た.今後オラパリブは適応が広まっていくことが予想されており,薬剤性肺障害にも留意する必要がある.
オラパリブ Poly ADP-ribose polymerase(PARP)阻害薬 薬剤性肺障害 再投与
Received 17 Sep 2019 / Accepted 25 Feb 2020
木村 陽介
〒950–8510 新潟県新潟市中央区旭町通1番町757
新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科
日呼吸誌, 9(3): 200-204, 2020