豪雨災害後の土砂除去作業中に発症した肺放線菌症と考えられた1例
船石 邦彦 尾下 豪人 伊藤 徳明 妹尾 美里 三玉 康幸 奥崎 健
三原市医師会病院内科
症例は85歳の男性.2018年西日本豪雨で土砂災害に遭い,土砂除去作業を連日行っていた.被災から約1ヶ月後に右肺下葉肺炎を発症した.キノロン系抗菌薬が奏効せず,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液で硫黄顆粒を認め,肺放線菌症が疑われた.β-ラクタム系抗生剤によって速やかに軽快した.歯科疾患はなく,土砂除去作業歴があったため,土壌からの放線菌感染が疑われた.自然災害後には環境由来微生物による呼吸器感染症の報告が散見されており,災害関連医療において注意が必要である.
Received 17 Oct 2019 / Accepted 9 Jan 2020
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 9(3): 166-169, 2020