出産後に肺炎を反復し原発性線毛機能不全症が疑われた1例
松林 沙知a,b 森野英里子a 小林このみa 飯倉 元保a 泉 信有a 杉山 温人a
a国立国際医療研究センター病院呼吸器内科
b東京慈恵会医科大学附属第三病院呼吸器内科
32歳女性.出産後から肺炎を繰り返すようになり受診した.来院時発熱,膿性痰あり,臨床症状,画像所見,微生物学的検査よりMoraxella catarrhalisによる肺炎と判断した.肺化膿症に準じて抗菌薬を長期投与し浸潤影の消失を確認したが,わずか6日後に同部位に肺炎を再燃し再入院となった.気管支粘膜の透過型電子顕微鏡検査でouter,inner dynein arms双方の欠損や,微小管配列の異常など線毛構造異常を認め,原発性線毛機能不全症と診断した.出産後,児との接触が反復性肺炎の契機と考えられた.
原発性線毛機能不全症 超微構造 (線毛の)運動腕 マクロライド
Received 7 Nov 2019 / Accepted 24 Dec 2019
森野 英里子
〒162–8655 東京都新宿区戸山1–21–1
国立国際医療研究センター病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(2): 147-150, 2020