血清ヘムオキシゲナーゼ-1が病勢と連動したアビラテロン酢酸エステルによる薬剤性肺障害の1例
張田 佳代a 原 悠a 室橋 光太a 長澤 遼a 奥寺 康司b 金子 猛a
a横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
b横浜市立大学附属病院病態病理学
ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)は抗酸化作用を有するヘム分解酵素であり,間質性肺炎の診断と予後予測に有用であることが報告されている.症例は83歳,男性.前立腺癌にて用いたアビラテロン酢酸エステルによる薬剤性肺障害にて入院,ステロイドパルス療法後に病勢は一時的に安定するも,インフルエンザA感染症を契機に肺障害は再増悪.ステロイドパルス療法を再度施行するも改善なく死亡した.本症例の経過において,血清HO-1はKL-6やSP-Dより鋭敏に病勢を反映した可能性があり,その肺細胞での発現の分布や程度についても報告する.
アビラテロン酢酸エステル バイオマーカー びまん性肺胞傷害 薬剤性肺障害 ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)
Received 21 Oct 2019 / Accepted 19 Dec 2019
原 悠
〒236–0004 神奈川県横浜市金沢区福浦3–9
横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
日呼吸誌, 9(2): 141-146, 2020