先天性角化不全症を背景に増悪した間質性肺炎の1剖検例
杉山 智子a 河瀨 成穂b 寺田 和樹c 山口 博樹c 佐々木なおみd 堀田 尚克b
a国家公務員共済組合連合会呉共済病院総合診療科
b同 呼吸器内科
c日本医科大学血液内科
d国家公務員共済組合連合会呉共済病院病理診断科
52歳,男性.死亡4年前に腎機能障害のため当院を紹介受診した.低身長,精神発達遅滞,汎血球減少の進行あり,遺伝子検査で先天性角化不全症と診断された.死亡2年前に乾性咳嗽が出現し,画像検査で間質性肺炎が認められた.治療は希望されず経過観察中であったが,急速な呼吸状態の悪化で永眠した.病理解剖では典型的なusual interstitial pneumoniaパターンとは異なる像が認められた.特発性肺線維症と診断された症例のなかに,本症例のように遺伝子異常を背景に持つ例が含まれている可能性が示唆された.
Received 3 May 2019 / Accepted 25 Nov 2019
河瀨 成穂
〒737–8505 広島県呉市西中央2–3–28
国家公務員共済組合連合会呉共済病院総合診療科
日呼吸誌, 9(2): 128-131, 2020