胸膜病変のみを有したIgG4関連胸膜炎の1例
田口 禎浩 梶原浩太郎 兼定 晴香 甲田 拓之 牧野 英記 兼松 貴則
松山赤十字病院呼吸器内科
症例は80歳男性.73歳で右結核性胸膜炎の加療歴あり.3ヶ月前から労作時呼吸困難が出現し近医で右被包化胸水と左胸水を指摘され,当院を紹介受診した.左胸水はリンパ球優位の滲出性胸水で,血清IgG4が上昇しておりIgG4関連疾患による胸膜炎が疑われた.胸腔鏡下左胸膜生検を施行したところ,IgG4陽性形質細胞を多数認めた.その他の臓器病変はなく,胸膜病変のみを有するIgG4関連疾患と診断した.原因不明の胸水は他臓器病変がなくともIgG4関連疾患を鑑別として考慮する必要がある.
IgG4関連疾患 胸膜炎 胸膜生検 結核性胸膜炎 Adenosine deaminase(ADA)
Received 4 Jun 2019 / Accepted 2 Dec 2019
田口 禎浩
〒790–8524 愛媛県松山市文京町1
松山赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(2): 118-122, 2020