後腹膜転移が結腸との穿通によって腫瘍内膿瘍をきたした小細胞肺癌の1例
尾下 豪人 伊藤 徳明 妹尾 美里 船石 邦彦 三玉 康幸 奥崎 健
三原市医師会病院内科
症例は73歳の男性.気管支鏡検査と経皮的針生検によって混合型小細胞肺癌および右後腹膜転移と診断された.化学療法が行われたが肺癌は増大し,右側腹部痛が出現した.造影CTで右後腹膜腫瘍内にガス貯留を認め,後腹膜腫瘍が上行結腸に穿通した結果,腫瘍内膿瘍を生じたと考えられた.抗菌薬治療と排膿によって感染は制御されたが,肺癌の進行によって死亡した.消化管との穿通は重篤な感染症をきたす危険性があるため,消化管と隣接する腫瘍では注意を要する.
Received 4 Oct 2019 / Accepted 2 Dec 2019
尾下 豪人
〒723‒0051 広島県三原市宮浦1‒15‒1
三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 9(2): 108-112, 2020