ペムブロリズマブとST合剤使用中に難治性肝障害を呈した肺癌症例
東名 史憲a 小林このみa 斉藤 光次b 田中 篤c 山口 正雄a 長瀬 洋之a
a帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学
b同 附属病院病理診断科
c同 内科学講座消化器病学
症例は66歳,男性.右下葉肺腺癌,cT4N3M1c,stage ⅣB,ドライバー遺伝子変異なし,PD-L1 70~80%と診断した.ペムブロリズマブ(pembrolizumab)を投与したところ甲状腺機能低下と肝障害を認めた.肝障害はステロイド治療により一度は改善したが,スルファメトキサゾール/トリメトプリム(sulfamethoxazole/trimethoprim:ST合剤)投与直後に再増悪を認めたためミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)の併用を要した.肝障害が難治化した要因としてST合剤による相加的なTリンパ球の活性化が影響した可能性が考えられた.また免疫関連有害事象は複数発症する可能性があることに留意が必要である.
ペムブロリズマブ 免疫関連有害事象 肝障害 スルファメトキサゾール/トリメトプリム(ST合剤) ミコフェノール酸モフェチル
Received 18 Jul 2019 / Accepted 13 Nov 2019
小林 このみ
〒173–8605 東京都板橋区加賀2–11–1
帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学
日呼吸誌, 9(2): 99-103, 2020