早期診断治療により救命しえた進行胃癌pulmonary tumor thrombotic microangiopathyが疑われた1例
北原 慎介 石田 友邦 川述 剛士 田中 健介 鈴木 未佳 河野千代子
JR東京総合病院呼吸器内科
症例は69歳男性.胃癌治療中に呼吸困難で前医を受診し,慢性閉塞性肺疾患増悪の診断で入院した.精査加療のため当院に転院したが増悪所見に乏しく,造影CTも明らかな肺動脈血栓は認めなかった.心臓超音波検査で右心系拡大を認めたため右心カテーテル検査を施行し,平均肺動脈圧高値で,肺動脈吸引細胞診もClass Vであったことから,臨床的に胃癌によるpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)と診断した.抗癌剤と肺血管拡張薬にて呼吸状態は改善し,第57病日に退院となった.我々は,PTTMを早期に鑑別に挙げることで救命できた症例を経験したので報告する.
Received 18 Jun 2019 / Accepted 30 Sep 2019
北原 慎介
〒151–8528 東京都渋谷区代々木2–1–3
JR東京総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(1): 76-80, 2020