ニボルマブ投与継続が可能であった尿細管間質性腎炎を発症した膜性腎症合併肺癌の1例
佐々木真知子a 水柿 秀紀a 榊原 純a 近藤 桂一b 深澤雄一郎c 今野 哲a
a北海道大学病院内科Ⅰ
b同 内科Ⅱ
c市立札幌病院病理診断科
症例は65歳女性.半年前より尿蛋白を指摘されネフローゼ症候群の精査目的に当院腎臓内科を受診した.左肺下葉に腫瘤影を指摘され当科を紹介され,肺扁平上皮癌cStage Ⅳと診断した.ネフローゼ症候群の原因は肺癌に伴う膜性腎症と診断された.1次治療後に原発巣の増悪があり,2次治療としてニボルマブ(nivolumab)を開始し,1コースの5日目にGrade 2のクレアチニン増加を認めた.腎生検を施行され,病理組織診断は膜性腎症および尿細管間質性腎炎であった.その後,1.5〜4ヶ月ごとにニボルマブを投与し部分奏効を維持している.
肺癌 ニボルマブ 尿細管間質性腎炎 膜性腎症 免疫関連有害事象
Received 2 Jun 2019 / Accepted 23 Oct 2019
水柿 秀紀
〒060–8638 北海道札幌市北区北15条西7丁目
北海道大学病院内科Ⅰ
日呼吸誌, 9(1): 71-75, 2020