PS不良,脳ヘルニア合併転移性ALK肺癌に脳腫瘍摘出,アレクチニブが著効した1例
髙尾 智彬a 穴井 諭a 久末 順子a 髙木 陽一a 原 直彦a 福山 聡b
a医療法人原三信病院呼吸器科
b九州大学大学院医学研究院胸部疾患研究施設
症例は56歳,非喫煙女性.咳嗽と全身倦怠感を主訴に受診し,多発脳肺転移を伴う右上葉肺腺癌(cT1cN2M1c,Stage ⅣB)の診断となった.脳ヘルニア合併,PS 3と全身状態不良であったが,性別・喫煙歴・画像所見からドライバー遺伝子変異陽性肺癌の可能性があり,除圧目的の開頭腫瘍摘出術,全脳照射を行った.手術切除検体からALK融合遺伝子陽性と判明し,アレクチニブ(alectinib)投与を開始し著効した.PS不良多発脳転移肺癌症例では,分子標的薬導入が期待される場合,脳ヘルニア解除など必要時は積極的に外科治療を考慮すべきである.
ALK融合遺伝子陽性肺癌 ドライバー遺伝子変異 PS不良 脳転移 脳ヘルニア
Received 23 Aug 2019 / Accepted 23 Oct 2019
穴井 諭
〒812–0033 福岡県福岡市博多区大博町1–8
医療法人原三信病院呼吸器科
日呼吸誌, 9(1): 65-70, 2020