オシメルチニブ投与後にCEA低下を示すも増悪したEGFRT790M変異陽性肺腺癌
尾下 豪人a 川﨑 広平b 伊藤 徳明a 妹尾 美里a 船石 邦彦a 奥崎 健a
a三原市医師会病院内科
b公立みつぎ総合病院内科
症例は68歳の男性.肺腺癌をゲフィチニブ(gefitinib)によって治療されたが,腫瘍は再増大した.EGFRのT790M変異陽性のため,オシメルチニブ(osimertinib)を開始した.CEAは著明に低下したが,腫瘍は増大し,深部静脈血栓症を合併した.抗凝固療法とオシメルチニブ継続投与を行うも,肺癌は急速に進行し,死亡した.本症例の経過には,腫瘍のheterogeneityや組織学的転化の関与が疑われた.癌の病勢は腫瘍マーカーのみに基づいて評価されるべきではない.
Received 11 Jul 2019 / Accepted 13 Sep 2019
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 9(1): 61-64, 2020