ニボルマブ使用中に生じた劇症型抗リン脂質抗体症候群の1例
宮腰 純 村田 研吾 竹内 孝夫 北園美弥子 和田 曉彦 髙森 幹雄
東京都立多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科
症例は78歳男性.胃癌に対し幽門側胃切除が行われ,翌年に再発を認めた.殺細胞性抗癌剤を使用されたが再増大し,ニボルマブ(nivolumab)が導入された.6サイクル投与後に急性呼吸不全が出現し,HRCTで両側にすりガラス陰影を認めた.抗リン脂質抗体が陽性となり,深部静脈血栓症が認められ,劇症型抗リン脂質抗体症候群が疑われた.死亡退院後,画像検査と病理解剖で血栓症および微小血栓塞栓症が証明され,劇症型抗リン脂質抗体症候群と診断した.ニボルマブによると考えられる劇症型抗リン脂質抗体症候群の報告はなく,文献的考察を加え報告する.
免疫チェックポイント阻害薬 ニボルマブ 劇症型抗リン脂質抗体症候群
Received 26 Apr 2019 / Accepted 28 Aug 2019
村田 研吾
〒183–8524 東京都府中市武蔵台2–8–29
東京都立多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科
日呼吸誌, 8(6): 425-429, 2019