ニューマトセルを形成したインフルエンザウイルス・黄色ブドウ球菌による肺炎の1例
小島 彩子a,b 石黒 卓a 山田真紗美a,b 高久洋太郎a 鍵山 奈保a 高柳 昇a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b東京慈恵会医科大学附属病院呼吸器内科
症例は78歳,女性.咽頭痛,発熱,呼吸困難を主訴に初診,両側肺炎で入院し,迅速抗原検査と喀痰・血液培養よりインフルエンザウイルスとメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)のウイルス・細菌混合性肺炎と診断した.ノイラミニダーゼ阻害薬や抗菌薬による加療を行ったが,すりガラス陰影は拡大,多数の嚢胞性陰影が出現して死亡した.嚢胞性病変は,肺炎に伴うニューマトセルと考えた.埼玉県立循環器・呼吸器病センターのインフルエンザ肺炎210例中,MSSAが原因菌であったのは4例,ニューマトセルを伴ったのは初めての症例であった.
Received 28 Jan 2019 / Accepted 15 May 2019
小島 彩子
〒360–0197 埼玉県熊谷市板井1696
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b東京慈恵会医科大学附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(5): 322-326, 2019