旋盤工に発症した切削油による急性過敏性肺炎と超硬合金肺を合併した1例
後町 杏子a 清水 宏繁a 植草 利公b 森山 寛史c 渋谷 和俊d 本間 栄a
a東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
b独立行政法人労働者福祉機構関東労災病院病理診断科
c独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院呼吸器内科
d東邦大学医療センター大森病院病院病理部
症例は74歳の旋盤工の男性.胸部CTで上葉に微細な粒状網状影,下葉に小葉間間質の肥厚を認め,胸腔鏡下外科的肺生検を施行した.左上葉は細気管支炎,胞隔炎と肺胞腔内の非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫,下葉はUIPパターンの間質性肺炎を認めた.職場環境調査を行い,旋盤時の切削油の吸入や,旋盤の切削刃に超硬合金のタングステンが含まれていることが判明した.切削油からはグラム陰性桿菌,肺組織の元素分析で下葉の線維化部にタングステンを検出し,タングステンによる超硬合金肺に切削油の吸入が原因の急性過敏性肺炎を合併したと診断した.
Received 19 Oct 2018 / Accepted 24 Jan 2019
後町 杏子
〒143–8541 東京都大田区大森西6–11–1
東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(3): 204-208, 2019