局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検を施行したダサチニブ関連胸水と考えられた1例
篠塚 怜衣a 横山 俊彦a 木村 令b 佐野 未来a 西山 裕乃a 野村 史郎a
a名古屋第一赤十字病院呼吸器内科
b東濃厚生病院呼吸器内科
ダサチニブ(dasatinib)関連胸水はしばしば認められる合併症であるが,胸膜生検にて病理組織像が得られた症例はきわめて少ない.症例は66歳男性.慢性骨髄性白血病に対するダサチニブ治療開始から2年8ヶ月後に右胸水貯留を指摘された.胸水はリンパ球優位の滲出性で,ダサチニブの休薬,変更をしつつ,鑑別診断のため局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検を施行した.病理組織検査にて,リンパ球を中心とした多彩な炎症細胞浸潤を認め,非特異的胸膜炎の像を示した.ダサチニブによる免疫修飾作用の関連を示唆する所見と考えられた.
Received 18 Oct 2018 / Accepted 7 Feb 2019
篠塚 怜衣
〒453–8511 愛知県名古屋市中村区道下町3–35
名古屋第一赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(3): 188-192, 2019