腫瘤状陰影を呈したニューモシスチス肺炎の1例
a独立行政法人国立病院機構高松医療センター呼吸器内科
b香川県立中央病院呼吸器内科
症例は44歳女性.ネフローゼ症候群で8ヶ月前よりステロイド治療を開始した.ステロイド漸減の過程で浮腫の増悪を認め1ヶ月前よりステロイドを増量していた.浮腫増悪の精査加療目的で入院となり,画像検査で左肺舌区から下葉にまたがる腫瘤状陰影を認めた.また血清β-D-グルカンが高値であった.気管支鏡検査による生検,洗浄でニューモシスチス肺炎(PCP)と診断した.PCPの画像は一般的にすりガラス状陰影を呈し,腫瘤状陰影を呈することは少ない.特に非HIV感染者においてはきわめて稀と考えられた.
Received 20 Sep 2018 / Accepted 28 Jan 2019
坂井 健一郎
〒761–0193 香川県高松市新田町乙8
独立行政法人国立病院機構高松医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 8(3): 173-177, 2019