インジウム肺に合併した肺癌の1症例
天田 敦子a 長南 達也a 薮内 悠貴a 市村 秀夫b 名和 健c 河端 美則d
a日鉱記念病院内科
b筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センター呼吸器外科
c日立総合病院呼吸器内科
d埼玉県立循環器・呼吸器病センター病理診断科
液晶パネルの生産に必要なインジウム化合物は近年取扱量が急増し,その微細粒子吸入は間質性肺炎,肺気腫等からなるインジウム肺(indium lung:IL)を惹起する.症例は46歳非喫煙男性で20XX-16年にILと診断,20XX-6年には間質性肺炎急性増悪を生じ,その後血清KL-6およびインジウム濃度の減少はきわめて緩徐であった.左胸部痛を訴え左肺上葉に腫瘍を認め,胸腔鏡検査にて肺腺癌および胸膜播種と診断され,生検にてILに特徴的なコレステロール肉芽腫と線維化を認めた.ILの診断後,経過観察中に肺癌が発症した最初の症例である.
Received 18 Oct 2018 / Accepted 12 Feb 2019
天田 敦子
〒317–0064 茨城県日立市神峰町2–12–8
日鉱記念病院内科
日呼吸誌, 8(3): 158-162, 2019