モーズペーストで止血し集学的癌治療を継続しえた肺癌皮膚転移の2例
木村 尚子a 菊池 絵里b 橋口 宏司c 青木 絢子d 金井 亮憲d 藤澤 順e
a恩賜財団済生会横浜市南部病院緩和医療科
b横浜南共済病院看護部
c同 薬剤科
d同 呼吸器内科
e同 緩和支持療法科
体表部悪性腫瘍の局所の出血,浸出液,感染による臭気のコントロールのためにモーズペースト(Mohs’ paste:MP)が使われることがある.今回我々は,止血に難渋した肺癌の転移性皮膚腫瘍の出血をMPで制御し,放射線治療や分子標的治療を施行した2例を経験した.本症例同様,多量出血をきたしている肺癌皮膚転移に対して,癌治療を継続する目的でMPを使用した報告はみられない.MPによる止血が肺癌の集学的癌治療を継続するための支持療法の選択肢の一つになる可能性が示唆されたため,文献的考察を含めて報告する.
Received 11 Oct 2018 / Accepted 5 Feb 2019
木村 尚子
〒234–8503 神奈川県横浜市港南区港南台3–2–10
恩賜財団済生会横浜市南部病院緩和医療科
日呼吸誌, 8(3): 153-157, 2019