治療経過中に大量胸水をきたし,局所麻酔下胸腔鏡で初期悪化を確認した肺結核の1例
矢嶋 知佳a 蛸井 浩行a 林 宏紀a 阿部 信二b 清家 正博a 弦間 昭彦a
a日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
b東京医科大学呼吸器内科学分野
症例は72歳男性.肺結核(rⅢ2)に対して抗結核薬を開始したが,約2ヶ月後に右大量胸水が出現した.鑑別診断目的に局所麻酔下胸腔鏡検査を施行し,壁側胸膜に多発性の白色結節を認めた.病理所見では類上皮細胞肉芽腫を認め肺結核の初期悪化と診断した.治療後2ヶ月の経過で大量胸水を認めたのは,胸膜において結核菌菌体成分に対する免疫反応が亢進し,肉芽腫形成,胸水貯留が誘導されたことによると推察された.また本症例は肺結核の初期悪化に伴う胸膜病変を局所麻酔下胸腔鏡で確認し,病理学的に診断に至った初めての報告である.
Received 17 Aug 2018 / Accepted 14 Nov 2018
矢嶋 知佳
〒113–8603 東京都文京区千駄木1–1–5
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 8(2): 97-101, 2019