職場環境が原因となった夏型過敏性肺炎の1例
岩淵 佑a 新屋 智之a 上田 宰a 内田 由佳a 笠原 寿郎b 北 俊之a
a国立病院機構金沢医療センター呼吸器内科
b金沢大学附属病院呼吸器内科
症例は41歳,男性.パン職人.自宅と職場のパン工房が築40年以上の木造建物.湿性咳嗽と呼吸困難を主訴に当院を初診.病歴,画像所見,気管支肺胞洗浄液および経気管支肺生検所見,抗トリコスポロン・アサヒ抗体陽性から夏型過敏性肺炎と診断した.入院後は無治療で自覚症状と検査所見は速やかに改善したが,自宅と職場の環境誘発試験を実施した結果では職場環境のみで陽性であり,職場環境を原因とした夏型過敏性肺炎と確定診断した.夏型過敏性肺炎の原因環境を特定するにあたり,詳細な問診と厳密な環境誘発試験が診断に有用であった.
夏型過敏性肺炎 抗トリコスポロン・アサヒ抗体 職場環境 環境誘発試験
Received 21 Jul 2018 / Accepted 3 Oct 2018
新屋 智之
〒920–8650 石川県金沢市下石引町1–1
国立病院機構金沢医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 8(1): 57-61, 2019