胸腺悪性腫瘍の心タンポナーデに対するカルボプラチンを用いた心膜癒着療法
土浦協同病院呼吸器外科
胸腺悪性腫瘍の進行により心タンポナーデを発症した4例(胸腺癌2例と胸腺腫2例)に対し,心嚢ドレナージとカルボプラチン(carboplatin:CBDCA)を用いた心膜癒着療法を行った.全例の心嚢周囲に腫瘍性病変を認めたが,心嚢液中に腫瘍細胞を検出しなかった.心嚢ドレナージ後,全例の心タンポナーデは軽快した.CBDCA心膜癒着療法による重症な有害事象は認めず,全例で腫瘍に対する積極的治療を継続し得た.本治療後の生存期間は比較的長期であり,胸腺癌症例が98日と414日,胸腺腫症例が626日と1,632日であった.
Received 18 Jul 2018 / Accepted 12 Oct 2018
小貫 琢哉
〒300–0028 茨城県土浦市おおつ野4–1–1
土浦協同病院呼吸器外科
日呼吸誌, 8(1): 16-20, 2019