抗TNFα抗体抵抗性のペムブロリズマブによる難治性大腸炎の1例
佐野 寛仁 小林 誠 佐々木優作 藤野 直也 山田 充啓 一ノ瀬正和
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
症例は42歳男性.肺扁平上皮癌cT2bN3M1b stage Ⅳ Bと診断.2次治療としてペムブロリズマブ(pembrolizumab:PEMB)を開始し薬剤性大腸炎を発症した.プレドニゾロン(prednisolone),抗TNFα抗体抵抗性のため,タクロリムス(tacrolimus)を用いた.腹痛および下血の改善が得られたものの寛解は得られなかった.本薬剤による国内での重症な大腸炎の症例報告は未だ存在しない.国際第Ⅲ相試験の結果からはその頻度は稀であるが,報告例の多くは重篤な経過をたどっている.本薬剤による大腸炎は重篤化しやすく治療抵抗性の可能性があることを理解する必要がある.
肺癌 ペムブロリズマブ 免疫関連有害事象 薬剤性大腸炎 抗TNFα抗体
Received 31 Jul 2018 / Accepted 5 Sep 2018
小林 誠
〒980–8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1–1
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 7(6): 409-414, 2018