薬剤性肺障害との鑑別を要した,潰瘍性大腸炎合併間質性肺炎の1例
マツダ株式会社マツダ病院呼吸器内科
症例は75歳男性で,3年前より潰瘍性大腸炎に対しメサラジン(mesalazine)製剤を内服中で,来院2ヶ月前からの労作時呼吸困難を主訴に受診し間質性肺炎が疑われた.メサラジン製剤による薬剤性肺障害を強く疑い同薬を中止し,ステロイド治療を行い軽快した.しかし,漸減中に肺浸潤影が再燃しステロイド増量を要した.一方,偶発的にメサラジン製剤再開後も肺陰影は再燃せず,薬剤性肺障害でなく潰瘍性大腸炎合併間質性肺炎と最終診断した.メサラジン製剤内服中に間質性肺炎を生じた場合,薬剤性肺障害だけでなく腸管外合併症の可能性を常に考える必要がある.
Received 17 Mar 2018 / Accepted 12 Jul 2018
齊藤 尚美
〒735–0017 広島県安芸郡府中町青崎南2–15
マツダ株式会社マツダ病院呼吸器内科
日呼吸誌, 7(6): 374-378, 2018