胸膜癒着療法と内視鏡的経鼻膵管ドレナージで膵切除術を回避できた膵管胸膜瘻の1例
大内 政嗣a 井上 修平a 尾崎 良智a 苗村 佑樹a 上田 桂子b
a独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科
b洛和会音羽病院呼吸器外科
症例は59歳,男性.慢性膵炎,膵仮性嚢胞の経過観察中,左胸水が出現し,胸水中のアミラーゼ値高値のため膵性胸水と診断した.ドレナージを行うが,その4ヶ月後の胸部X線検査で左胸水の再貯留を認めた.再ドレナージ後,血性排液が持続したためオクトレオチド(octreotide)の投与を開始した.ERCPで膵管の不整と膵管外漏出像を認め膵管胸膜瘻と診断した.内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)と胸膜癒着療法を行い,胸腔ドレーンを抜去した.その3週間後にENPDを抜去したが,左胸水の再貯留は認めず経過している.
膵管胸膜瘻 膵性胸水 胸腔鏡 オクトレオチド 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ
Received 30 Jan 2018 / Accepted 24 Apr 2018
大内 政嗣
〒527–8505 滋賀県東近江市五智町255
独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科
日呼吸誌, 7(4): 267-271, 2018