ニンテダニブの関与が疑われた壊死性結腸憩室炎の1例
三田祐実子a 西村 和幸b 三浦 惇史b 永井 智仁b 玉置 淳a
a東京女子医科大学病院内科学第一講座
b埼玉県済生会栗橋病院呼吸器内科
ニンテダニブ(nintedanib)導入後に壊死性結腸憩室炎を生じ,その関与が疑われた1例を経験したので報告する.症例は69歳男性,特発性肺線維症に対してニンテダニブを導入後に急性腹症を生じ右結腸切除術が施行された.切除検体の病理所見より壊死性結腸憩室炎と診断された.ニンテダニブと同様に細胞内シグナル伝達阻害作用を持つ薬剤では出血などの副作用が認められ,特にVEGF阻害薬であるベバシズマブ(bevacizumab)では消化管穿孔が多数報告されている.VEGFR阻害効果を持つニンテダニブ導入前には消化管病変の有無を含めた治療前評価が必要と考えられた.
Received 20 Nov 2017 / Accepted 16 Apr 2018
三田 祐実子
〒162–8666 東京都新宿区河田町8–1
東京女子医科大学病院内科学第一講座
日呼吸誌, 7(4): 263-266, 2018