肺癌術後に顕在化した抗PL-7抗体陽性の抗ARS抗体症候群に伴う間質性肺炎の1例
大貫 次利a 間藤 尚子a 安田 優b 山本 真一c 坂東 政司a 萩原 弘一a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
b島根県立中央病院循環器科
c自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門
症例は64歳男性.左上葉肺腺癌に対し胸腔鏡下肺切除術を施行し,1ヶ月後より咳嗽と落屑を伴う四肢の皮疹が出現した.また,両側下葉に牽引性気管支拡張を伴う間質性陰影が新たに出現し,血清抗PL-7抗体が陽性で抗ARS抗体症候群に伴う間質性肺炎と診断した.切除肺を再検討した結果,軽微な間質性肺炎像が確認され,既存の病変が手術侵襲を介して増悪した可能性が考えられた.肺癌術後に間質性肺炎が増悪し,皮膚病変を伴って顕在化した抗ARS抗体症候群の報告はないため,文献的考察を加え報告する.
Received 10 Dec 2017 / Accepted 6 Mar 2018
大貫 次利
〒329–0498 栃木県下野市薬師寺3311–1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 7(3): 192-196, 2018