自然退縮を示した傍腫瘍性神経症候群合併抗Hu抗体陽性小細胞肺癌の1例
濱川 侑介 太田真一郎 淡島 舞子 藤倉 雄二 叶 宗一郎 川名 明彦
防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
76歳男性,受診の2ヶ月前から抑うつ状態,焦燥感,嘔気,全身倦怠感を自覚していた.前医の胸部単純CTで右下葉結節と右縦隔肺門リンパ節腫大がみられた.入院時の胸部造影CTで右下葉結節は自然退縮していた.超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)を施行し,小細胞肺癌と診断した.入院中に小脳症状,見当識障害が出現した.血清で抗神経抗体の抗Hu抗体が陽性となり,神経症状の原因は傍腫瘍性神経症候群と診断した.化学療法で腫瘍縮小が得られるとともに神経症状は改善した.抗神経抗体陽性例では,自己免疫による自然退縮の機序が想定されている.
Received 8 Dec 2017 / Accepted 15 Feb 2018
濱川 侑介
〒359–0042 埼玉県所沢市並木3–2
防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
日呼吸誌, 7(3): 146-150, 2018