腹腔動脈を流入血管とした肺底区動脈大動脈起始症の1例
白井 雄也a 九野 貴華a 松本錦之介a 光井 雄一a 上野 清伸a 船越 康信b
a大阪急性期・総合医療センター呼吸器内科
b同 呼吸器外科
症例は48歳,女性.胆嚢結石術前の単純CTで左肺底区に3cm大の限局性浸潤影を認めたため当科紹介となった.炎症性変化や肺癌を考え気管支鏡検査を施行したが有意所見は認めなかった.造影CTで腹腔動脈から分岐する異常血管を確認したため肺底区動脈大動脈起始症と診断し左肺底区域切除術を施行した.
本症例は過去の炎症により浸潤影を呈しており流入する血管影の同定が困難であった.肺底部の索状影に関しては,本疾患を念頭に置き異常血管の流入に注意を払う必要がある.
Received 12 Jul 2017 / Accepted 22 Nov 2017
上野 清伸
〒537–8511 大阪府大阪市住吉区万代東3–1–56
大阪急性期・総合医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 7(2): 119-123, 2018