放射線治療後に気管支内腔進展した浸潤性胸腺腫の2例
片野 拓馬 池田 慧 磯本 晃佑 関根 朗雅 萩原 恵里 小倉 高志
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
浸潤性胸腺腫の進展は通常隣接臓器への直接浸潤によるため,中枢気道に病変を認めることはきわめて稀である.我々は放射線治療後に気管支内腔進展した2例を経験した.2例はともに正岡分類Ⅲ期であり,手術は試験開胸で終了し,放射線治療を行った.その後,胸腺腫が末梢気管支から気管支内腔進展していき,放射線治療から5年後,4年後にそれぞれ生検で再発と診断した.放射線照射により脆弱になった胸膜・肺・末梢気管支から腫瘍が進展しやすくなる可能性があり,定期的な画像経過観察の必要性が示唆された.
Received 14 Sep 2017 / Accepted 26 Dec 2017
片野 拓馬
〒236–0051 神奈川県横浜市金沢区富岡東6–16–1
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 7(2): 100-104, 2018