化学療法により高度の骨髄抑制をきたしたG-CSF産生肺癌の1例
井本早穂子 里見 良輔 細尾 咲子 八木 一馬 越部麻友子 小山田吉孝
独立行政法人国立病院機構東京医療センター呼吸器科
症例は60歳,男性.右肺腺癌cT1bN3M1b cStage Ⅳ.白血球増多,血清G-CSF値高値,腫瘍組織でのG-CSF染色陽性所見より,G-CSF産生肺癌と診断した.シスプラチン(cisplatin:CDDP),ペメトレキセド(pemetrexed:PEM)の併用化学療法を実施したところ,Grade 4の白血球減少,好中球減少,Grade 3の貧血,Grade 2の血小板減少を呈し,重症な肺炎を合併した.G-CSF産生肺癌に対する化学療法が高度の骨髄抑制を惹起するとの報告はなく,症例の集積と対応法の確立が望まれる.
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF) G-CSF産生腫瘍 肺癌 化学療法 骨髄抑制
Received 1 Aug 2017 / Accepted 26 Sep 2017
連絡先:井本 早穂子
〒152–0021 東京都目黒区東が丘2–5–1
日呼吸誌, 7(1): 10-14, 2018