嗜眠をきたした胸膜孤立性線維性腫瘍による非膵島細胞腫瘍性低血糖症の1例
井上 明香a 玉井 浩二a 桝屋 大輝a 纐纈 優子b 市川 一仁c 鈴木雄二郎a
a神鋼記念病院呼吸器センター
b同 糖尿病・代謝内科
c同 病理診断センター
72歳の男性が,呼吸困難,見当識障害,7ヶ月前からの嗜眠を主訴に入院した.胸部造影CT上,左胸腔に巨大腫瘤があり,また,難治性の低血糖と血中インスリン値の低下を認めた.CTガイド下経皮針生検で,胸膜孤立性線維性腫瘍を疑い,それによる非膵島細胞腫瘍性低血糖症の合併と考えた.外科的腫瘍摘出術を行い,術後から低血糖は消失した.病理組織所見は胸膜孤立性線維性腫瘍であった.術前の血清からは高分子insulin-like growth factor Ⅱ が検出されたが,術後血清では消失していた.
孤立性線維性腫瘍 胸膜 非膵島細胞腫瘍性低血糖症 外科治療 高分子IGF-Ⅱ
Received 26 Mar 2017 / Accepted 10 Aug 2017
連絡先:井上 明香
〒651–0072 兵庫県神戸市中央区脇浜町1–4–47
日呼吸誌, 6(6): 454-457, 2017