肺癌の治療経過中にWernicke脳症を呈した1例
a京都中部総合医療センター呼吸器内科
b同 総合内科
症例は82歳女性.Epidermal growth factor receptor(EGFR)遺伝子変異陽性肺腺癌stage Ⅳと診断され,ゲフィチニブ(gefitinib)を投与された.治療中に見当識障害,小脳失調と水平性眼振を呈し,頭部MRI検査で中脳水道周囲や第3脳室周囲に高信号領域を認め,Wernicke脳症と診断された.ビタミンB1により速やかに症状は改善した.悪性腫瘍はWernicke脳症の危険因子だが,肺癌での報告は稀であり,ここに報告する.
Received 24 Mar 2017 / Accepted 7 Aug 2017
連絡先:森本 健司
〒602–0197 京都府南丹市八木町八木上野25
日呼吸誌, 6(6): 450-453, 2017