カルボプラチンによる潰瘍性大腸炎様所見を呈した薬剤性腸炎の1例
吉村 彰紘 塩津 伸介 宇田紗也佳 栗栖 直子 佐川 友哉 平岡 範也
京都第一赤十字病院呼吸器内科
症例は47歳男性,局所進行非小細胞肺癌に対し,carboplatin(CBDCA)+paclitaxelを用いた化学放射線治療を施行中に血便が出現した.下部消化管内視鏡検査で潰瘍性大腸炎を疑う所見を認めた.しかし,無治療経過観察で症状と内視鏡所見は改善し,CBDCAを被疑薬とした薬剤性腸炎と考えた.我々がWeb検索した限りでは同薬剤による同所見を呈する薬剤性腸炎の報告はなかった.CBDCAによるⅣ型アレルギーの症状の一つに腸炎があることを認識する必要があると考えた.
薬剤性腸炎 潰瘍性大腸炎 非小細胞肺癌 カルボプラチン Ⅳ型アレルギー
Received 20 Feb 2017 / Accepted 7 Aug 2017
連絡先:吉村 彰紘
〒605–0981 京都府京都市東山区本町15–749
日呼吸誌, 6(6): 441-444, 2017