インフリキシマブ投与後にABPA様病態で発症し膿胸に至ったアスペルギルス症の1例
中嶋 啓 岡本真一郎 津村 真介 佐藤奈穂子 右山 洋平 興梠 博次
熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
症例は55歳,男性.RAに対しインフリキシマブ開始約1ヶ月後に肺浸潤影,胸水貯留をきたした.BALF,胸水ともに好酸球優位でアスペルギルス特異的IgEも陽性であった.PSL 30mg/日およびMCFGにて治療したが改善なく,さらに好中球性胸膜炎,有瘻性膿胸に進展した.開窓術を施行後,胸腔洗浄を継続し病態安定が認められ,5ヶ月後に大網充填,胸郭形成を行い閉胸した.TNF阻害薬投与後のアスペルギルス感染は稀であるが,発症時にABPA様の変化を伴う点や外科的治療を要した点など示唆に富む症例であった.
腫瘍壊死因子 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 関節リウマチ 開窓術 Aspergillus fumigatus
Received 27 Jan 2017 / Accepted 23 Aug 2017
連絡先:興梠 博次
〒860–8556 熊本県熊本市中央区本荘1–1–1
日呼吸誌, 6(6): 431-435, 2017