形質細胞増多とADA高値の胸水貯留が初発症状であった全身性エリテマトーデスの1例
向原 史晃 藤原 慶一 安東 千裕 中須賀崇匡 岩本 佳隆 柴山 卓夫
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器内科
症例は45歳,女性.労作時呼吸困難,左胸水貯留のため当院を受診した.胸水中の形質細胞増多とADA高値を認めたが,悪性細胞は検出されなかった.短期間で胸水が増量し,胸腔ドレナージを施行した.CTで造影される胸膜肥厚,結節が散在しており,胸腔鏡下胸膜生検では形質細胞浸潤を伴う非特異的胸膜炎の所見であった.抗核抗体陽性,抗ds-DNA抗体陽性,補体価低値などから全身性エリテマトーデス(SLE)による胸膜炎と診断した.形質細胞増多とADA高値を伴った胸水貯留で発症したSLE症例は興味深いと考えられた.
全身性エリテマトーデス 胸水貯留 初発症状 形質細胞 アデノシンデアミナーゼ
Received 16 Feb 2017 / Accepted 25 May 2017
連絡先:藤原 慶一
〒701-1192 岡山県岡山市北区田益1711-1
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 6(5): 393-398, 2017