黄色ブドウ球菌による感染性大動脈瘤から大量喀血をきたした1例
岡本 翔一a 高森 幹雄b 高橋由希子b 山本 美暁b 村田 研吾b 和田 曉彦b
a順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学
b東京都立多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科
症例は80歳,男性.湿性咳嗽と血痰,発熱を主訴に救急外来を受診した.咳嗽を契機に大量に喀血したため気管挿管し,人工呼吸器管理を行った.Staphylococcus aureusによる菌血症,下行大動脈の感染性動脈瘤が判明し,いったん喀血は消失したが再燃した.十分な抗菌薬投与の後,最終的にステントグラフト内挿術を行い喀血はみられなくなった.高圧系の動脈瘤は大量喀血をきたし不幸な転帰をたどる可能性があり,喀血の原因としてまれではあるが感染性大動脈瘤を考慮する必要がある.
黄色ブドウ球菌 感染性大動脈瘤 喀血 ステントグラフト内挿術
Received 24 Jan 2017 / Accepted 29 Jun 2017
連絡先:岡本 翔一
〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1
順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 6(5): 373-377, 2017