RS3PE症候群を契機に発見され急速な経過をたどった肺多形癌の1例
佐川 友哉a 中尾 龍太b 宇田紗也佳a 吉村 彰紘a 弓場 達也a 平岡 範也a
a京都第一赤十字病院呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は69歳,男性.RS3PE症候群の精査中に肺門・縦隔部,および鎖骨上窩のリンパ節腫大が判明し当科紹介となった.鎖骨上窩リンパ節より生検を行ったが低分化な上皮性腫瘍の転移と診断された.精査中に呼吸困難が出現しニューモシスチス肺炎を発症していた.2週間の治療で軽快したが,当初認められなかった多発脳転移が出現した.初診の約3ヶ月後に死亡し病理解剖にて肺多形癌と診断した.RS3PE症候群を呈した肺多形癌の報告はこれまでなく,貴重な1例であった.
Received 30 Aug 2016 / Accepted 23 May 2017
連絡先:佐川 友哉
〒605-0981 京都府京都市東山区本町15-749
京都第一赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(5): 332-336, 2017